Fantasistaシリーズ

私が開発に携わった初めてのロッドFantasitaシリーズ。2002年に企画が立ち上がりネーミングは当時日韓合同のワールドカップが開催され盛り上がっていたサッカーのFantasistaからつけられた。当時にはあまりなかったブランクスが派手な色のロッドにしようと、ベイトが赤、スピニングは青のスタンダードモデルから開発が始まり、オレンジのYABAI、赤のREGISTA、紫のSTUDIOUSのプロモデルと開発が続いた。このシリーズ全体のコンセプトはStrategicGuideConcept(ストラテジックガイドコンセプト)戦略的ガイド設計というもので、チタンフレイムのSicガイドを、それまで推奨されていた一般的なガイド位置から自由に動かし、ブランクスの性能を用途に合わせて最大限まで引き出すという画期的なものであった。このコンセプトは後に一般的な考え方になる。ブランクスには高密度組成カーボンという素材を使い、軽くて強いというこの先Fantasistaシリーズが追及していく道が示されている。そしてシリーズ全体にはスタンダードモデルはよりマイルドで一般的に、プロモデルはより尖った特殊仕様にという方向性も持たせることになった。

 

STUDIOUS

Fast Model
2007年に発売を開始したピンクパープルのブランクスが特徴的なFantasista STUDIOUS(ステュディオス)シリーズ。Fantasistaシリーズ全体のストラテジックガイドコンセプトは、ロッドの用途によってガイドの位置がそれぞれ自由にでき、特徴的であるというものだった。私が手掛けたこのシリーズは、最初に3本のスピニングロッドから始まった。当時はスピニングロッドには今ほど大きな役割分けがなく、多くの方が同じロッドで様々なライトリグを行っていた。まず私が考えたのはこの細分化であった。そしてフルソリッドのライトリグロッドが注目を浴びはじめている中で、あえてソリッドティップに目を付けた。最初にリリースした3本は全てソリッドティップである。ロッドは先からきれいに曲がること、そして中空であることが感度を高める。曲げられるというソリッドの良さを生かしつつ、ロッドの性能を高めるにはソリッドティップしかないと思っていた。

60ULS
ファーストロッドはライトリグの核心となる60ULS。素材の軽さが一般的になり、少しずつロングロッドが求められていく中において、あえて6フィートのショートモデルで作ったのは単純に短いほうが軽くて感度がいいからである。それとその軽さと感度を求めるならばシングルハンドの設計にしたかったからであった。このロッドは100gを切ることを最大の目標に設計した。当時ではかなり軽いほうに入る。またグリップの細さもバスロッドとしては一番細いものを採用した。ソリッドティップ上の第二、第三ガイドが3mm、トップガイドがそれより大きい4.5mmのマイクロ系ガイドを革新的に使用した。ガイド系を小さくしたのはロッドを曲げていくときにラインが離れないようにするためで、このほうがロッドの性能を生かし、ルアーアクションから感度、ラインのトラブルも少ないからであった。のちにマイクロガイドが流行ることは当然知らなかった。そしてトップガイドの径を上げたのは、ガイドの重みがロッドのしなりを大きくさせ、ショートロッドのハンデであるキャストの性能を上げるためであった。レッグワームのダウンショットはこのロッドとともに磨かれたテクニックである。のちに60ULSはモデルが変わっても継承していくが、この初期モデルが一番愛着があり、そして一番汎用性のあるロッドであった。時代ともにさらにロッドは軽くなり、新しいものへと変わっていったが、このロッドを超える60ULSをる来ることは目標でもある。

スピニングクランクコンセプト
60MLSはソリッドティップでありながら硬めのスピニングロッドとして設計した。このロッドでやりたかったことは今でこそこれもスタンダードになったが、当時は亀山ダムではやりだしたばかりのパワーフィネスという釣りと、スピニングを使ったクランクベイトのコンセプトであった。パワーフィネスはこののち、すごい勢いで進化していく。厳密に極めるためにはこのロッドは不完全であるが、スピニングクランクはこの硬めのソリッドティップがとても有効であった。使うルアーは小型のクランクやシャッドでよく投げていたのはシャドラップなどベイトで投げにくいバルサのものが多かった。硬いベイトタックルのタッチではボトムからルアーがはじいてしまいやすく、それを防ぐためのソリッドティップスピニングでもある。同じ場所で同じルアーでもベイトタックルで釣れなかったバスが、スピニングタックルで釣れるということは実によくあることだった。このロッドで印象に残っているのは野尻湖でのスモールマウス。5gのジグヘッドに自作のフラグラブ3インチをつけ、中層のカーブフォールで入賞したことがある。ボトムから大きくジグを浮かせるためにこのロッドの硬さは必要で、そのあとのショートバイトにはティップから入るこのロッドの曲がりが必要であった。

スモールマウス専用ロッド
STUDIOUDのファーストモデル67LSはスモールマウス用にコンセプトしたロッドだった。ロッドは長めのレギュラーテーパーのほうがラインブレイクを起こしにくい。ライトラインが必要になるスモールマウスレイクでのトーナメントではこのようなロッドが必要であった。それでいて針にかけるためのティップの柔らかさ、魚を寄せるバットの強さが必要で、メインに使っていたリグがライトキャロを投げやすくするということもあり、6.7フィートを採用した。徐々に長くなってきたとはいえ、この当時の主流は6.1~6.3フィートで、6.4フィートのスピニングロッドさえ販売に苦戦するというスピングロッド全体の幅の狭さでったので6.7フィートのロッドは異質であった。スモールマウスにコンセプトを置いたロッドとしてはおそらく日本で最初のロッドだと思う。


60MH、65LS
60MHはフットボールジグを手返しよく使うために作った完全にトーナメント用のロッドで、65LSはベイトを使ったワーミングのコンセプトに開発した。65LSはこの後ベイトフィネスという大きな流れに完全に埋もれてしまうが、ベイトワーミングの可能性に先見性があったことだけは足跡を残せた。


V2 Limited
JBTOP2010年、シリーズ連覇へ向けてターニングポイントとなったのは第4戦旧吉野川。その川バス対応策に急遽作ってもらった60ULSのパワーアップバージョンロッドFSS-62LSは60ULSよりやや重いシンカーを背負うことができ、ランディングをほんの少し速やかに行うことができた。流心にボートポジションをとり、ショアサイドでかけた魚は、流心…つまりボートの下に走ってくる。ほんの少し速やかのその「ほんの」の差でトーナメントの勝敗は決まる。僅か2インチ長くなっただけのこのロッドは、その差を埋めるには十分で、ほぼミスなく終えたこの試合で2度目の年間優勝を確実なものにした。シリーズ連覇を記念して発売したFSS62ULS V2 Limitedは発売本数に限りがあり一瞬んで市場から消えた。


MGS Model
2010年発売開始の2世代目ファンタジスタはマイクロガイドコンセプトMGS。軽さとロッドブランクスの性能を最大限引き出すことのできるマイクロガイドを国内ではいち早く導入したシリーズであった。しかしこのマイクロガイドはそれ自体がまだ完成された分野ではなく、バランスよく径の合うガイドがもともとなかっり、ロッドに対してどれくらいのガイド数が適切かさえ試しながらの開発であった。そのため初期のスピニングモデルではベイト用のガイドを採用したものもある。ブランクスはMGS前期には初代モデルを引き継いだExHD Composition(高密度組成)カーボン。そして2012年から発売された後期ナノシリーズはブランクスが3M? Powerlux?へ変わった。この少し前からFantasitaシリーズにDeezとX-GLAIVEが加わり、Fantasistaはスタンダードモデルがなくなったことで、特化したモデルが中心の超個性派プロロッドシリーズと化した。まだまだ隙間のあったバスロッド業界であったが、そこを細かく埋めていくかのように、この先シリーズとしては毎年15本近い新作のハイエンドクラスが出続けることになる。


69LSBFと63LSBF
カスタムリールの世界から発展したベイトフィネス。それまでのベイトワーミングをはるかに超えたライトリグをベイトロッドで扱うスタイルは大きなブームとなった。このコンセプトの一番大切なことは、スピニングでやれることをベイトでやるということ。そのためにはリグに対するロッドのタッチ感を変えてはいけない。スピニングはリースシートやグリップをホールドするとき小指と薬指で支えるのに対し、ベイトロッドではトリガーにかけた中指付近で支える。それでは力が入りすぎてしまい軽いタッチを生み出せない。そこで考えたのがこのロッドに採用された特殊なトリガーレスグリップであった。キャスト時にロッドを投げてしまいそうになるや、手首の負担が大きすぎて疲れるといったトリガーレスの欠点をなくし、親指から中指までを軽いタッチで動かしリールシートからブランクスタッチができて感度を上げるこのリールシートは画期的なアイデアであった。そしてそのリールシートにああわせたロッドはバランスが良く、まさにスピニングロッドのようにライトリグを扱えた。69のNINEはファーストテーパー。ピッチングがしやすいがハンドランディングがしにくいため、63THREEをBasserAllstarClassicのハンドランディングのレギュレーション用に追加した。


STANDUP Model
2015年発売開始のSTUDIOUSシリーズ、オカッパリ専用機種。スピニングモデルは60ULSをベースに考え、ライトリグ全般に扱えたることに加え少しバットパワーを持たせた。ベイトモデルは少し硬めのレギュラーテーパーで幅広いルアーに対応した汎用性が特徴である。ブランクスはMGSシリーズの3M? Powerlux?ではなくナノアロイ技術を導入したモデル。オカッパリ世代に向けて価格帯を少し下げたモデルであった。


10th Anniversary Model
2016年、ファンタジスタ誕生10周年を記念して発売された限定モデル。MGSシリーズの60ULⅡをベースに初期モデルのガイドセッティングをチタンフレームトルザイトリングのガイドで採用した。グリップはファンタジスタ全体のバランスに合わせたためこのモデルだけコルクグリップではない。


TAF Model
第3世代のSTUDIOUSは新設計「Triarchy Force製法(TAF製法)」採用の Nanoカーボンブランクス(100%国産カーボン)により、ロッドの基本性能「強度、重量、感度」を徹底的に追求し、性能を向上させたモデル。ガイドはチタンフレームトルザイトリング。これまで培ったマイクロガイドのコンセプトなどももちろん継承し、細部にまで徹底してこだわった使用感の最高のバスロッドである。TAF製法ブランクスの特徴は軽さ、強度は言うまでもなく、反発力の高さと感度のよさにもある。そしてカーボンシートを複数枚重ねることで、ロッドの巻き目(スパイン)が分散しぶれにくい仕上がりとなる。ファーストプロトのブランクスを手にした瞬間、この時点での最高のブランクスであることは確信した。